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2008年7月23日 (水)

ヴォネガット氏の遺言

カート・ヴォネガット氏の作品には彼自身の、人間への愛と憎悪の葛藤が描かれている。

『猫のゆりかご』を読んでいる真っ只中ではあったが、先日買った同著者のエッセイ集『国のない男』が気になり、昨夜一気に読み終えてしまった。

『国のない男』はヴォネガット氏の遺書である。

ユーモアたっぷりのアイロニーで、戦争を商売にするアメリカを、狂った政権を、進歩し続ける文明を、そして人類を痛烈に批判している。
だがそれは彼がこの世界を、人類を愛してやまないからに他ならない。

それが切ないほどにわかるからこそ、ヴォネガット氏の言葉には胸がつまる。

一部抜粋してみる~

人間はいまや、生命を育んできたこの健全な惑星を、二百年もかけないで破壊してしまった。それも主に化石燃料を使った熱学的ばか騒ぎをもって。

人間はこの地球がどうなろうとちっともかまわないと思っている。みんなそろってその日暮らしのアル中のようだ。あと数日生きられれば、それで十分だと言わんばかりだ。

中でも「レクイエム」と題された詩は強烈だった。

一部抜粋~
十字架にかけられし地球よ。声を持ち皮肉をこめて言ってほしい。破壊的な人間のことを。最後の生き物がわれわれのせいで死ぬとき 地球がしゃべってくれたらとても詩的(すてき)だと思う。それもわきあがるような声で。できればグランドキャニオンの大地から立ち上がるような声で
「お終いだ」
人間はここが好きではなかったのだ。

この本は「今」を生きる自分に確実に影響を及ぼすだろう良書だ。

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